2012年07月01日

(A-4)シェラーグボルテン(Kjeragbolten)の上に立ってみる(ランニング編)

こんにちはみなさん、だいごろうです。
さて、やっと話が佳境に入ってきました。


 
とりえあえず、身支度を整えて8:10にスタートです。

しかし・・・

初っ端からトレッキングルートの入り口が見つかりません
実は入り口がわかりにくいことはよくあります。大体は近くに看板があるのですがその看板が異常に小さいことも良くあるのです。そういいながらも、今回は地図に表示されている入り口は大きな看板の裏側にありました。

戻ったときには「何で見つけられなかったんだ?」と、思うような位置なのですが、このときはあたりをうろうろと探してしまいました。「最初からこれで大丈夫かよ?」と内心あせっています。朝早かったのと、まだシーズンでないこともあって辺りには誰もいません。「ランナーは孤独だ。」とか一人でブツブツつぶやきながら10分ほどさまよってようやく発見。やっとスタートです。

8:20 スタート(車についていた温度計は摂氏2.5度でした。)

まずはスタートから三つの山を越えなくてはいけません。
いろいろな情報によればこの三つの山越えが一番ハードなパートとのこと。以下に最初のパートの経路示します。


右側に駐車場があり左に向けて進んでいきます。


より大きな地図で コース1 を表示

見てわかるように最初の丘を越えるのにスタート地点の高度650mあたりから高度800m近くまでを、1キロ弱の距離で上っていかなくてはなりません。目印は
頼りの赤いTこの赤いTのしるしです。ノルウェーのトレイルはこの赤いTが目印として統一されているようです。周りに誰もいませんし、迷子になっても誰も気がついてくれない可能性もあるので慎重に進みます。このTをたどって進めば問題ないはずなのですが、何度か見失いました。もちろん見失ったときはすぐに分かるところまで戻ります。ほとんどの場合はTから次のTが見えるので、そこまで難易度は高くありません。といっても調子の乗りすぎるとすぐにオーバーランしてしまいます。

写真よりはるかにきついです。
基本的に最初の1km弱はきついのぼりです。きつく見えませんがきつい。鎖があるのも、だてではありません。このあたりだとTが頻繁にあってコースに迷うようなことは、あまりありません。それに迷っても登れそうなところがルートなのであまり気にはなりません。記録によれば最初の1Kmで21分ほどかかっています。とても走っているというレベルではないですね。しかし、遅くても気になりません。記録も狙ってないですし、やっぱり自然の中を走るのは楽しい。こんなところで怪我や事故が起きると、大変ですからやっぱり慎重に。


一山超えると雪景色やっとの思いで一山超えると目の前には清々しい風景。しかし、だんだんと雪が目立ってきます。足場も悪くぬかるんでいるところも目立ちます。基本的には岩場が主体なのですが、川があったりするせいか谷の部分には結構ぬかるんだ道も多かったですね。天気は晴れか曇りでしたが前の週までの天気予報はほぼ毎日雨だったので、土の地面はぬれている感じが多い印象でした。
一つ目と二つ目の山の間の谷では池とか、ちょっとだけ整備された遊歩道が楽しめます。もちろん、このころにはもうすでにあまり精神的な余裕がありません。
 また、後で知ったのですがこの結構きつい一山目はFV500の途中で降ろしてもらうと、すこし楽な道を通ることができて時間も稼げるらしいです。ただ、車でやってきていると、車を道の真ん中に放置するわけにも行かないのでこの方法は使えません。


マジかよ

 二つ目の山にとりかかるときに思わず口をついたのは「マジかよ。
トレイルルートがまったく道っぽく見えません。日本で事前調査したときいろいろな人の体験記を読んだのですが、今まで山登りなどはしたことが無いという人たちも結構チャレンジして成功しているので、ここまできついとは思っていませんでした。たしかに、どのガイドブックを見ても、かなりハードなコースとは書かれていましたが。
 余談になりますが、帰り道では何人かのハイカーとすれ違いました。そのときに「あとのどくらい?」というのは非常によく聞かれます。この二つ目の山でソロのノルウェー人のハイカーにもシェラーグボルテンまで後どのくらいか聞かれたので、正直に答えると「無理。もう帰る。」といって引き返し始めていました。よく考えてみるとわざわざ日本から行く人は気合が入っているのでなかなかリタイヤしにくい。そして、万一リタイヤした人がいてもさすがにそういう人は体験記を書かないですよね。

 話は戻って行きの話。がんばって登りますが、もう「マジかよ」連発です。この上の写真ではわかりにくいのですが、ハッキリ言ってこれは崖です。これ見よがしのTのマークがムカつきます。(定かではないのですがこの写真は行きに後ろを振り返って撮った記憶があるので、下りの部分だったと思います)こんな道が(道なのか?)続きます。
 ちょうど2つ目の山のピークがスタートから2Km地点辺りなのですが最初の1Kmが21分かかったのに対して次の1Kmは25分かかっています。
 その次の1Kmでほぼ3つの山越えは終わるのですが最後の1Kmに26.5分もかかっています。これは、山のきつさよりも雪深さに難渋してしまった結果なので、最初の二つの山さえ越えてしまえば残りは比較的楽になります。ただし、ルートが単純往復なので帰り道にもこの山は控えています。油断は禁物です。


なんとか三つ目の山を登っていくと次は1000mくらいの高さでフラットな一枚岩の上が続きます。
右から左に進んでいきます。左端のごちゃっとしたところがシェラーグボルテンを求めてさまよっているところです。

より大きな地図で コース2 を表示

ここから先
の3Km地点から5Km地点までは、しっかり走れそうなイメージでいたのですがまったくスピードは上がりませんでした。先ほどの傾斜に難儀していたところとちがって、今度は積もった雪と強烈な風に難儀します。
雪中ラン スタートのころはまったく気にならなかったのですが、この辺に来るともう積雪地帯をいくつも通過しなくてはならない状態になりました。一応足跡のあるところを選んで進むのですが、何度もを踏み抜いてズッポリとひざ近くまで埋まってしまいます。ストックっぽいものは持ってはいますがトレラン用で雪用のバスケットがついていません。
 できるだけ雪を回避しながら進んでいくのですが、今度はTをすぐに見失ってしまいます。フラットな一枚岩の岩場なので見通しはいいのですが、逆にTを標すところがあまりないせいか一つ一つのTがかなり離れています。たぶん雪で見えないTも多数あるのかもしれません。
フラットな地形になったせいか風も強烈になってきました。ここらあたりで雨用のジャケットを着込みました。かなり風は強かったのですがそれだけで十分防げました。雪の中を走ったせいで、膝から下もかなり濡れていますがまだ十分元気です。
そして、走り始めてから約1時間38分シェラーグ(Kjerag)の標識に何とか到着

みんなが記念写真を撮っているシェラーグの標識
風は吹いていますが、もう暴風という感じではありません。曇ってはいますが見通しは十分です。

とりあえずは写真を撮ってみます。
当初の予定ではここら辺で昼ごはんをと思っていたのですが、午前5時前とはいえ、朝ごはんをかなりしっかり食べていたのと、まだ10時くらいなのでお腹はすいていません。それにここまでくればやっぱりすぐにシェラーグボルテンを探したくなります。
というわけで、すぐに標識に従ってシェラーグボルテンを探しに行きます。
といっても、あまりにも簡単な標識なのでほとんど良くわかりません。日本での事前調査で地図をじっくり眺めた結果シェラーグボルテンの座標は、
32V 361638 6546382 (N59.03434 E6.59009)
32V 361825 6546581 
のどちらかあたりじゃないかと思っていたので、そこを探します。
(注:はっきりした資料が無かったのでそこまで精度は高くないと思います)



ウロウロの軌跡がこれです。


より大きな地図で シェラーグボルテンを探してウロウロ を表示

しかし、座標だけあってもそこに到達するのはかなり難しいですね。後20mほどまっすぐ行けば到達できるのにそこには大きな谷があったり、迂回を続けるとどんどんと目的の座標から離れていって収拾がつかなくなったり。 
実はシェラーグボルテンも座標だけで到達するのは無理でした。まずは小さな川を挟んで北側からシェラーグボルテンがあると思われるところにアプローチをして見ますが、大きな谷があり近づけません。
次はいったん大きな谷を東側から迂回して南側からアプローチをかけて見ます。
東に迂回して南からのアプローチ左の写真が南からのアプローチです。GPSによるとこの先にシェラーグボルテンがあると思われるのですがこちら側も崖になっていてここから近づくことはできません。
ウロウロとしてみたのですが、どうも目的のシェラーグボルテンは雪の下にあるようです。近づくためには雪の上を歩かなくてはいけないのですが、シェラーグボルテン自体が岩の裂け目に挟まっていますし、間違いなく大きな岩の裂け目があるはずです。その上に積もっている雪の上を歩いているときにいきなり踏み抜いてしまったらそのまま1000mの自由落下も十分考えられます。
ずいぶん座標をチェックしながらウロウロしたのですが、結論としては今回は雪が深くてシェラーグボルテンには到達できなかった。ということになりました。
大変残念ですが今回は撤収です。シェラーグの景色はそれはそれで十分満喫できたのですが、ここまでやってきても、結局所期の目的である「シェラーグボルテンの上に立ってみる」が、達成できなかったとなると疲労も倍増です。

スタートから約2時間13分後。探し始めて約35分後にはあきらめて、がっかりした気持ちのまま帰り道を進み始めます。

 しかし、やっぱり運は常に私の味方です。走り始めてものの一分も経たないうちに前から地元の若者が4人ほどのパーティでこちらに来るのが見えました。このトレイルではじめてであった人です。


だ:こんにちは
の1:こんにちは
だ:シェラーグボルテンってどこにあるか知ってる?
の1:もちろん、その先にあるよ。
だ:うん、行って見たけど雪の下で見えなかったよ。残念。
の1:え?見えるよ。
の2:うん、見えるよ。
だ:いや、行ったけどだめだった。
の2:いや、見えるってば。
の2:ついておいで。案内してあげる。
だ:えっえっ?
ここを下っていくわけ?
と、あっという間にそのパーティの一人が道を外れて私が来た道を進みます。あっけにとられながらも後をついていったのですが・・・
ここは先ほど私もきたところです。やはり雪に埋もれています。
の2:あそこに(左の写真中央)ちょっと丸い岩が見えるでしょ?
だ:うん、ちょっと緑っぽいコケかなんかがついてるやつ?
の2:そそ、あれがシェラーグボルテン。反対から見たらきれいに見えるよ。でも、この雪を超えていかなきゃね。もちろんここですべってたりして転がっていってしまったら、下まで行っちゃうから気をつけてね。んじゃ、バイ。
だ:お〜ありがとう〜。
と、お礼の言葉もすまないうちに、地元の彼は仲間の元に戻っていったのでした。

う〜ん・・・シェラーグボルテンが見える。これはとてもうれしいが、この緩斜面とはいえ雪の上を下っていかなければならない。もちろん滑ったり転んだりして、向こう側の地面が出ているところに止まりきれなければ・・・勢いあまっておつりが1000m・・・


そ、それは避けたい。

しかし、ここまできて見ずして帰れるか?

う〜む。冷静に考えなければ。

まず、どのくらい危ないのだ?
 冷静によく観察してみる。傾斜は非常に緩やかでスキーの初心者用のゲレンデと同じか、それよりもゆるい。
今までに経験でその程度の傾斜であれば転ぶことも滅多にないし、転んでも止まれない勢いがついて滑っていくということも無い
 向こう側の地面が露出している部分も十分広く雪の上にずっと立っておく必要も無い。
 
地形的に考えると、右側の少しへこんだ部分であれば、雪の下に空洞がある可能性は否定できないが、左側の足跡が残っている部分であれば大きな割れ目がある可能性はあまり無い

結論としては「慎重に確認しながら進めば十分に安全。

と、いっても最初の一歩はとてもドキドキします。
特に雪と岩の境目は雪の層が上にちょっと乗っているだけで下は空洞ということもよくあるので、きわめて慎重にストックで探りながら足を踏み出します。最初の一歩がうまく行くと後は結構調子よく進んでいきます。
距離的にはそれほど無いので、ドキドキしながらもすぐに雪の地帯を突破。
すぐに振り返って確認してみると・・・



ありました。
ありがとう、親切な地元の彼。君のおかげでちゃんと見つけられたよ。


やっと、ご対面できたシェラーグボルテンそこには、岩の裂け目に挟まったシェラーグボルテン。
下をのぞくと海面が見えてちょっとくらくらします。
一般的に宣伝などで使われているシェラーグボルテンの写真は今通ってきた側から海に向けて撮っているのですが、今回は雪が邪魔で海側からの写真になっています。

もう、あとはこの岩の上に立つだけです。

といっても、この岩に乗るための岩場がまた狭い。
最後の部分は、せいぜい30cmくらいの足場をすり抜けていかねばなりません。右側は切り立つ岩。左側は奈落の1000m。

おまけにこの岩。写真でもわかるように丸くなっています。滑らないように慎重に這って行きます。この場所にきてみれば、確保もなしにこの上でダンスなんてとてもじゃないけど信じられません。
 そして、ここまできてから気がついたのですが、このシェラーグボルテンはかなり大きいので自分が上に乗っている写真はかなり離れたところからでないと撮れないのです。う〜ん、まぁいいや。所期の目的は「シェラーグボルテンの上に立ってみる。」であって、「シェラーグボルテンの上に立っている自分を写真に撮る。」じゃないし。とか、また一人でブツブツと言い訳してみます。

シェラーグボルテンの上からカメのスピードでずるずると這って登り、ゆっくりと立ち上がってみます。運よく風もやんでいたので、そこまでは怖くありませんでしたが心臓がドキドキしているのがわかります。ゆっくりと下を覗いたり、周りを見回して見ます。何枚か写真を撮った後にまた這って岩から降ります。これが1mくらいの高さでしたら何の問題も無くぴょんぴょんと乗り降りするのでしょうが、1000mだと心理的なプレッシャーが違います。たぶん3mくらいだと落ちれば怪我をするのに十分な高さですが、それでも這って乗り降りはしないと思います。やはり1000mはすごい。

濡れてる・・・
降りた後にも一枚写真を撮ります。ここで気がついたのですが岩の上が濡れています。岩が濡れているというより自分が濡れていたので岩も濡れてしまったようです。もう降りてしまったので問題ないとはいえ、すべる要因がもうひとつあったことにちょっとクラクラしました。
 さて、時間を見てみるとスタートしてから約2時間25分が経過しています。十分に堪能したので復路の出発です。

復路もがんばる
帰りは少し晴れてきて若干気温も上がっているようです。単純往復なので来た道を帰るだけなのですが行きに比べてもTが見つけ辛い。何度もオーバーランしてコースから外れました。しかし、帰りはGPSに記録されたコースを見ながらそのまま修正しながら走ります。すれ違う人も何人か出てきました。







より大きな地図で コース3 を表示

もちろん、帰りのコースも厳しいものが続きます。
やっぱり厳しいしかし、気分は晴れ晴れで順調に進んでいきます。
特に問題も無くトータルタイム4時間8分。午後12時38分にスタートした駐車場に戻れました。

いちおう観光案内所やドライブインを確認しましたが閉まっていて誰もいません。
駐車場には少し車が止まっていましたがそれほどシェラーグへのトレイルにチャレンジしようという雰囲気の人はいませんでした。

これでシェラーグボルテンへのチャレンジは終了です。次のチャレンジは「プレーケストーレンで足をぶらぶらさせる」です。実際にはこのシェラーグボルテンへのチャレンジの翌日にチャレンジでした。がんばって近いうちにまとめようと思います。



posted by だいごろう at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | チャレンジ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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